借地権の混同

大阪市の借地というのをご存じでしょうか?

個人や法人などの民間が、地主の大阪市さんから地代を払って土地を借りて、建物を建てているケースです。

私たちの港区では、相当数の大阪市の借地が存在し、業者間では略して市借(ししゃく)と呼んだりしています。

この場合の権利関係は、底地(土地所有権)は大阪市が保有し、土地を借りている借地人は借地権(または土地賃借権)を保有していることになります。

大阪市は建物を建てている借地人が希望すれば、その底地を売り払うことがあります。
ただし、その奥に隣接してまだ更に大阪市の土地があり、その土地を売り払うと袋地になってしまう場合などは、買い取ることはできません。

では、無事に大阪市から底地を買い取ることができれば、土地の権利関係はどうなるのでしょうか?自分で自分に地代を払う必要はないのはお分かりでしょう。
土地を貸して地代を得る権利と、土地を借りる権利が同じ人間のものとなりますので、借地権または土地賃借権は消滅してしまうのです。

これを民法では「混同」と呼び、物権または債権債務が同一人に帰属した場合に、併存させておく必要のない所有権以外の権利が消滅することを指します。

これらの事は、もちろん大阪市の借地に限った事ではありません。ただし私の経験では、民間の地主さんが底地を売ってくれるケースは、相当まれと言えるでしょう。